先日、11月度の住宅売買統計が出ましたので、その情報をシェアーさせていただきました。(前回ブログ)今回は、その数字をもとに、さらに深く掘り下げて、GTAの住宅市場状況を見ていきたいと思います。

マイクロ市場分析

トロント地区不動産協会の管轄全ての売買件数、および、平均売買価格で、各月の動向の大まかなものはわかりますが、やはり、GTAといっても、広範に渡りますし、また、家屋タイプによる動向も違ってきています。そこで、ここでは、その違いをご説明するため、かなりランダムに、エリア、家屋タイプ、時期別の数字分析をしてみました。

下記の表は、マイクロ市場分析の結果です。

エリアと家屋タイプ:トロントC01(マップ参照)コンドミニアム、Mississauga市 detached(一戸建て)、Whitby市 detached(一戸建て)、トロントE01(マップ参照)semi-detached (半一戸建て)、Brampton市 semi-detached (半一戸建て)

市場の流れをご説明するにあたり、一番最新の2020年11月の数字に合わせ、2019年の10月、2020年2月(パンデミックの直前)の3つ時期の数字を表にしました。

もちろん、平均売買価格の値段の推移は気になるところですが、実は、この中で、一番意味のあるカテゴリーは、Month of Supplyです。これは、需要と供給の関係をズバリ表しているのです。Month of Supplyは、Listings(市場に出ている物件数)を、Sales(売買件数)で割ったのもので、現在市場に出ている物件が、新しい物件がこれ以上出ないとすれば、何ヶ月で売れ尽くすかという数字を出したものです。例えば、C01のコンドミニアムの11月は、Month of Supplyが、4.7、つまり、5ヶ月弱ということです。それに比べ、Whitby市の一戸建ては、0.50、つまり、半月で売れ切れるということになります。さらに、Bramptonの半戸建てとなると、Month of Supplyが、一週間半の状態です。この数字と、平均売買価格の関連を是非ご参照ください。

通常、このMonth of Supplyが、3〜5ヶ月がバランスのとれたマーケット、3ヶ月以下が、売り手市場、5ヶ月以上が、買い手市場と言われています。

停滞してきたと言われるコンドミニアムのC01エリアの数字を例にとって、どんなことがわかるかといえば、

  • パンデミック前の今年2020年2月の数字では、Month of Supplyがかなり低く、平均売買価格も高い。
  • 11月の時点では、Month of Supply が5ヶ月近くとなっており、平均売買価格も下降。
  • 売買件数に関しては、減ってはいない。

最後に挙げましたが、売買件数としては、決してコンドミニアムが売れないというのではなく、それを大幅に上回る、市場物件数が、現在の値段を下げる要因になっていることがわかります。その一番の要因は、移民を含む国境閉鎖により、投資賃貸物件の貸し出しが難しい状況下、投資家が物件売却を試みるケースの増大です。

それに対し、値段的にまだ手頃価格であるトロント郊外の土地のある家屋タイプ(一戸建て、半一戸建て)が、パンデミック後、さらに、人気が出て、需要が追いついていない、したがって、値段が上がるという状況になってきております。

今後の予想

さて、トロント地区住宅市場は、パンデミック初期、3月末から、4月にかけ、一旦停止しましたが、5月以降、早い回復を見せ、売買件数、平均価格共に、昨年を超える結果となりました。これから、冬に入り、時期的に不動産売買は、スローになります。また、実際、春に購入できなかったバイヤーが規制緩和が進むと共に、市場に出て、購入を勧めていきましたが、そのようなバイヤーの需要もほぼ埋められたのではないかと思います。したがって、これからしばらくは、例年の冬の市場になり、夏から秋にかけての活発さはなくなると思います。今後の市場を予想するにあたり、先に述べました、Month of Inventoryの動きを常に把握し、その動きを見ることが大切だと思います。それ以外に、現在わかっている中で、住居市場にとって、サポートとなる情報があります。

  • 人口増加 ー カナダ政府の移民受け入れの目標は、今後3年以内に、40万人としています。移民の多くは、GTAを住居とするので、人口増加は必須です。
  • ワクチンの普及 ー 現時点で、2つのワクチンのカナダ保健省の承認待ちですが、来週には、ワクチンがカナダに届くという発表もされています。来年には、パンデミックの終わりも来るでしょう。
  • 低金利 ー 歴史的に低い金利は、今後しばらく続くようです。低借り入れコストが住宅市場に与える影響は大きいです。

このパンデミックを通して、住む環境を再検討された方は多いと思います。在宅勤務も増え、やはり、ダウンタウンを離れ、郊外でいいから、庭付きの家に住みたいという家族も増えました。ただ、このトレンドがずっと続くかといえば、そうとは思いません。ダウンタウンの企業も少しづつ、社員をオフィスに戻していくようですし、ダウンタウンの設備、アクセスの良さ、何と言っても、グローバル都市のトロント市を愛し、そこに住まいを持ちたいという人は多いでしょう。今後、国境も解放され、移民も入ってくれば、また新しい広がりがあると思います。ただ、住む環境を大切にする思いはきっと変わらないことでしょう。

特定のエリア、家屋タイプの住宅市場をお知りになりたい方は、是非お問い合わせください。詳しい資料をお作りさせていただきます。