先日、オンタリオ州の新型コロナウイルス収束に向けての非常事態宣言が、5月12日まで延期されました。この状況がどのように、そして、どこまで続くのかは、誰もはっきりとした予想はできませんが、この先は、私たち一人一人が、政府のアドバイスを守り、食料品や薬の買い出しや、犬の散歩などの必要最低限以外、外出せず、ソーシャルディスタンスを守ることにかかっていますね。この状況下、一生懸命頑張ってくださっているエッセンシャルワーカー、特に、医療関係者の方達には、本当に、感謝の念でいっぱいです。

そんな外出自粛中の私も、現在すでに売却契約を結ばれて、クロージング(決済日)を待つだけの方などのフォローアップをさせていただきながら、自宅でいろいろできる作業を続けている今日この頃です。

先日、お客様から、今住んでいるコンドを売ろうと思うが、私の意見を聞きたいとのお問い合わせを受けました。その方は、2歳になるお子様とご夫婦の3人家族ですが、2ベッドルームのコンドミニアムを3年前に購入されています。そのお返事をするために、彼女に色々質問しました。まずは、売りたい理由ですが、二人目を考えていらっしゃるので、広めの家に移りたいと事。そして、なぜ今なのかという理由は、このcovid-19の影響で、今後経済の低迷が予想され、不動産も暴落するのではないか、その前に売っておいて、しばらく両親のところに住み、様子を見たほうがいいのではないかと思うという事でした。

彼女の状況から見て、今絶対売らなければならない立場でない事を確認して、私は、現在売りに出すより、少し待ったほうがいいとのアドバイスをしました。

不動産売買は、必須ビジネスで、実際に売り物件も市場に出ています。また、契約も交わされています。ただ、現在の規制がある状況下、見学をどう取り扱うか。(バーチャルショーイングのみにするか、リスクを背負い、見学を許可するか)などの問題、また、実際に家の購入をしばらく見送る人が多い状況下、現在売りに出している物件は、切羽詰まっているセラーで、安く買えるのではないかと、買い手も値段を下げてくる可能性も多々あります。どちらにしても、不安からの行動は、避けたほうがいいと思います。

さて、この方の「今売らなければ、今後、家の価格が暴落する」という心配をされた理由の一つに、今年に入ってからの不動産の動きが関係してきます。そこで、今年2020年に入ってから3月までのグレータートロントの不動産の流れ、特に3月の市場についてみてみたいと思います。

上の表にありますように、3月のトロント不動産協会の統計では、3月度のグレータートロント地区の平均価格は、$902、680(今年になって三ヶ月間の平均、$890、822)で、これは、前年比、14.5%(同様14.8%)の伸びとなっています。3月の半ばには、新型コロナウイルスに関する非常事態宣告がすでに出ているわけですから、それを考慮すると、3月がいかに活発に、売り手市場で始まったかがわかると思います。

私たちは、不動産の需要供給の関係を見る一つの手段として、Month of Inventory(MOI)を使います。これは、今出ている物件数のみで、その時期のペースで売買が行われた場合、どれだけの期間で全てが売れるかを出したものです。通常、MOIが、4〜6ヶ月で、バランスマーケット、4ヶ月以下だと、売り手市場、6ヶ月以上が、買い手市場となります。3月は、MOIが、1.3ヶ月とまさに売り手市場でした。ちなみに、1月は、1.7ヶ月、2月は1.2ヶ月で、今年に入ってからのグレータートロントの方向性としては、2017年の春の高騰を思わせるような、勢いを見せていました。実際、このcovid-19 の非常事態がなければ、また、急騰が起こっていたかもしれません。その意味においては、現在の市場の停滞が、価格の調整期間として、市場に安定をもたらしたかもしれません。

今後、生活がある程度普通に戻ったとしても、経済的回復には時間がかかるかもしれません。当然、不動産市場にも影響はあると思います。ただ、消費者の信頼が戻れば、グレータートロントの不動産は、長期的に見て、まだまだ上昇を続けていくでしょう。今後の動きをしっかりと見ていき、また、ご報告させていただきます。