カナダ全体の不動産状況は、バンクーバーとトロントの2都市のために、価格上昇が続いているといわれています。実際、バンクーバーとトロント以外の都市は、平均価格は、据え置きか、下降しているのが現状です。

さて、その不動産市場のなか、8月2日、BC州は、新たに、外国住宅購入者に対し、家の価格の15%の税金を課税するという法をを発足させました。これは、ある意味、寝耳に水、発表されてから、施行まで数日というスピードで、影響をじかに受ける、メトロバンクーバーの外国バイヤーを困惑させたようです。また、そのために、契約破棄となった売買契約もいくつか出たようで、早々この新法令のインパクトをあらわしています。また、連邦政府は、現在、オンタリオの州政府も含め、グループを召集し、この法令に関する調査を行い始めており、連邦政府を挙げての法令もありうるかと、先行きが気になるところです。

そこで、この条例、トロント地区に住んでいる者にとっては、オンタリオ州も同様の法令ができるのか、このBC州の外国住宅購入者税が与える影響を含めて気になるところですが、OREA(Ontario Real Estate Association)と、TREB (Toronto Real Estate Board)は、早速、オンタリオ州財務大臣、トロント市長、そして全てのトロント市議会員宛に不動産協会の立場からの勧告の手紙を送り、先行きを慎重に見守っています。

OREAと、TREB側の意見としては、このような外国住宅購入者税は、オンタリオ住民が直面している住宅価格上昇による問題に対し、あまり効果的でなく、エコノミー全体を見ると、否定的な結果になる可能性もあるといっています。

特に、強調しているのは、オンタリオ州では、検討するにあたる、外国住宅所有者に関するデータがない。CMHC ( Canada Mortgage and Housing Cooperation)が出している、トロントで、2000年以前は、コンドミニアムの外国人所有率が2%未満が、2010年より、7%になっているというのが、唯一のデータで、それには、特に問題となっている一軒家、ローライズが含まれていないので、実際に外国人不動産所有者が与える市場価格に対する影響を計るには不十分だと見ています。

特に、トロント不動産協会の管轄である、GTAの2016年の住宅売買件数は、110,000件ほどの予定で、また新たな記録となるようです。それに対する、リスティング(市場に出る売却)の数は、150,000~160,000と、昨年より減少しています。需要供給の関係を考えると、バランスの取れた市場としては、200,000~210,000件ほど必要で、そのために、グリーンベルトの制限の見直しや、不動産取得税(ランドトランスファータックス)の軽減もしくは削除なども含め、現状のポリシーの見直しによる、供給の増加を考えることが大切だと訴えています。

また、購入者側の立場で、現在の価格上昇し続ける、不動産市場で最も痛手を負っている、ファーストタイムバイヤーに対する配慮が必要で、不動産購入税のファーストタイムバイヤーに対するリベートの内容の見直しも必要だとしています。

BC州の外国住宅購入者に対する追加税金の施行により、購入する不動産をBC州からオンタリオ州に変更する投資家なども今後出てくる可能性もあります。住宅の価格上昇により、住宅購入が難しくなっているのは明らかな事実ですが、オンタリオ州には、今後、BC州で施行された15%の外国住宅購入者税の今後の不動産市場に与える影響を、十分なデータを集めたうえで、最適な判断をしてもらうことを願います。