早いもので、今年もあと数カ月となりました。9月を過ぎ、先日、第3四半期までの今年の住宅市場統計が出ましたので、今回は、トロント地区の9月の市場情報と、2015年の現在までの住宅市場について、さらに、カナダのほかの都市の市場状況も併せてお話させていただきます。

■トロント地区の住宅市場
トロント不動産協会の最新の市場統計によると、先月9月は、8,200件の家の販売が行われました。これは、昨年比2.5%増し、9月における過去最大の件数となりました。また、9月の平均販売価格は、$627,395で、こちらは昨年比9.2%増となっております。

ちなみに、そのうち、コンドミニアムのみに限りますと、9月の販売件数は、2,052件、平均販売価格は、$385,623です。

さらに、今年の第3四半期までの9カ月間を見てみますと、販売件数は、80,331件で、昨年同時期比、9.5%増しとなりました。2015年末までの予想では、2015年度は、過去最高の販売数の100,000件近くになるようです。

9月までの9カ月間の今年の平均販売価格は、$621,119で、これは、昨年比、10.2%増となります。  また、売り出してから販売成立までにかかる日数は、この9カ月間の平均は23日で、昨年比27日を4日も短縮しております。
このように、すべての統計結果が、活発な市場の動きを明示しています。

■カナダの他の都市の住宅市場
では、カナダのほかの都市の住宅市場について見てみましょう。
Canadian Real Estate Association(CREA=カナダ不動産協会)の最新の統計である今年8月の統計によると、カナダ全体の住宅平均販売価格は、$433,367で、前年の8月までの価格と比べ、8.7%増しとなっています。 実は、これは、バンクーバー地区(Greater Vancouver Area)と、トロント地区(Greater Toronto Area)が全体の平均値を押し上げているのであって、この2つのエリアの数字を除くと、カナダ全体の平均販売価格は、$338,755、前年比4.2%増と、かなり下がります。

実際、アルバータ州カルガリーの8月の平均販売価格は、$450,260で、前年比、1.0%減です。同様に、大西洋岸ニューファンドランド州の州都セントジョンズは、$311,166で、13.2%減、ノバスコシア州ハリファックスは、$274,022で、0.7%減など、前年より価格が下がっています。

住宅販売価格には、いろいろな要素が影響しておりますが、特に、経済状態、消費者信頼感、モーゲージレート(ローンの利率)の3つの要素が大きくかかわっています。その中で、特にアルバータ州は、今年はじめの原油価格の下落により、経済不安低が続き、住宅価格も大きな影響を受けております。CREAによると、アルバータの2015年の不動産価格は前年比、2.8%減と見込まれています。

また、2015年の住宅販売件数について、Canada Mortgage and Housing Cooperation (CMHC)は、アルバータ州で、19%の減少、サスカチワン州で、9.8%の減少、ニューファンドランド州で、5%の減少と予想しています。

その反面、製造業、輸出経済が盛んなオンタリオ州、ケベック州は、カナダドル安、引き続き好調な、米国経済の影響、原油価格の下落による、生産コストの減少などで、経済は安定、そして、住宅価格も上向きということがいえます。

トロントでは、年々続く住宅価格の上昇や、新築コンドミニアムの建設ブームなどについて、懸念の声も上がっています。しかし、毎年約25万人のカナダ新移民のうちの半数がオンタリオ州に落ち着き、その多くは、トロントに住居を持ちます。それを考慮しますと、今後のモーゲージレートの上昇により、市場はスローになるかと思われますが、バブル崩壊のような恐れはまずないと言っていいでしょう。

ワールドクラスの都市といわれているトロントの住宅価格は、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、パリなどと比べると、まだまだお手頃です。

* http://www.e-nikka.ca/ 10月22日号に記載